美術工芸品の修理
掛軸の修理・表装
KAKEJIKU
美術工芸品の修理
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このページの要点
掛軸は、本紙(絵や書の部分)と、それを支える裏打ち紙・表装裂(きれ)でできています。傷みの多くは本紙そのものより、経年で劣化した裏打ちや糊に原因があります。そのため修理は「解体して古い裏打ちを取り除き、新たに裏打ちし直して仕立て直す」のが基本です。当社は御掛軸・仏画・涅槃図などの修理を承っています。なお国宝・重要文化財などに指定された掛軸の修理は、装こう(装潢)を専門とする技術者の領域であり、当社では承っておりません(詳しくは下記)。京都から全国対応、現地でのお預かり・お見積もりのご相談を承ります。
掛軸の修理(修復)とは、傷んだ掛軸を一度解体し、本紙を安全な状態に整えたうえで、あらためて表装し直す仕事です。「表装」「表具」とも呼ばれます。
掛軸は、絵や書が描かれた本紙、その裏を補強する裏打ち紙、周囲を飾る表装裂(きれ)、上下の軸木・軸首、掛けるための紐・鐶などから成り立っています。これらは和紙と糊という有機的な材料でできているため、時間の経過とともに必ず劣化します。
| 折れ・折れ山: | 巻いたり広げたりを繰り返すことで横方向に折れ筋が入り、進行すると本紙が裂けます。最も多い傷みです。 |
| シミ・カビ: | 湿気により茶色い斑点(フォクシング)やカビが発生します。 |
| 虫損(ちゅうそん): | 紙魚(しみ)などの食害による穴あき。 |
| 絵具の剥落: | 彩色部分が粉状に浮き、触れると落ちる状態。仏画に多く見られます。 |
| 裏打ちの浮き・剥離: | 糊が効かなくなり、本紙と裏打ちの間に空気が入って波打ちます。 |
| 表装裂の傷み: | 裂の擦り切れ、褪色、軸木の割れ、軸首の欠損。 |
「まだ掛けられるから大丈夫」と思われがちですが、折れが進むと本紙が裂け、絵具の剥落は触れるほど失われます。傷みが軽いうちのほうが、残せる部分が多くなります。
| 1. 調査・見積: | 傷みの程度、本紙の材質と絵具の状態を確認し、方針とお見積もりをご提示します。 |
| 2. 剥落止め: | 絵具が浮いている場合は、まず膠(にかわ)などで絵具層を固着させ、以降の工程で失われないようにします。 |
| 3. 解体: | 表装裂・軸木を外し、本紙を取り出します。 |
| 4. 洗浄・除去: | 汚れを取り除き、劣化した古い裏打ち紙と糊を慎重に剥がします。 |
| 5. 補紙(ほし): | 虫損や欠損部に、本紙に近い風合いの和紙を補填します。 |
| 6. 裏打ち: | 新しい和紙で肌裏・増裏と裏打ちを重ね、平らに戻します。 |
| 7. 補彩: | 必要に応じて、補填部分が目立たないよう控えめに色を合わせます。 |
| 8. 仕立て: | 表装裂を新調または再用し、軸木・軸首・紐を整えて仕立て直します。 |
補彩は「元より綺麗にする」ためではなく、鑑賞を妨げないための最小限の処置として行います。どこまで手を入れるかは、事前にご相談のうえ決定します。
はい。御本尊の御影、仏画、涅槃図(ねはんず)、祖師像の御掛軸などの修理を承っております。大幅の涅槃図のように寸法が大きなものも対応可能です。
仏画は彩色や金泥(きんでい)が用いられていることが多く、湿気を与える工程で絵具を失うおそれがあります。そのため先に剥落止めを行ってから解体に入るなど、材質に応じた慎重な手順が必要です。当社は建造物の彩色・剥落止めを本業としており、絵具層の扱いに知見があります。
いいえ。国宝・重要文化財などに指定されている掛軸の修理は、当社では承っておりません。
掛軸・屏風・古文書といった紙や布でできた美術工芸品の保存修理は、装こう(装潢)と呼ばれる専門分野で、国宝装こう師連盟に所属する装こう師が担う領域です。当社は同連盟には所属していないため、指定文化財の掛軸修理はお引き受けできません。
指定文化財の掛軸については、所轄の文化財部局にご相談のうえ、装こうの専門技術者にご依頼ください。当社がお受けできるのは、指定を受けていない御掛軸・仏画・涅槃図などの修理です。
費用は、寸法・傷みの程度・本紙の状態・表装裂を新調するかどうかによって変わります。折れの直しと仕立て直しで済む場合と、虫損の補紙や剥落止めから必要な場合とでは、工程数が大きく異なるためです。まずは現物を拝見してお見積もりをご提示します。
期間は、和紙と糊を用いる工程で乾燥・寝かせの時間が不可欠なため、数か月単位でお時間をいただくのが一般的です。法要など期日のご希望がある場合は、早めにご相談ください。
指定を受けていない掛軸でも、自治体の制度に該当する場合は補助金を活用できることがあります。申請に必要な仕様・見積書の作成もお手伝いいたします。
湿気を避け、風通しのよい場所で保管してください。巻くときは強く締めすぎないこと、掛けたままにせず定期的に巻き替えて休ませることが、折れとカビの予防になります。桐箱での保管が適しています。
「折れがひどくなってきた」「シミが出ている」「絵具が落ちてきた」——現状のお写真をお送りいただければ、おおよその方針をご案内できます。
お問い合わせ・お見積もりはこちら/お電話:075-371-3137
御神体・御仏像・木製および金属製の神仏具の修理については美術工芸品の修理もあわせてご覧ください。
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