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仏具・荘厳具

厨子(ずし)とは

株式会社若林工芸舎 文化財・社寺建築の装飾専門工事更新:

このページの要点

厨子(ずし)は、仏像・位牌・経巻などを納めるための扉を備えた箱型の仏具です。扉を開閉して用いるため、他の仏具と違って「動く部分」の傷みが必ず出ます。「扉が閉まりにくい」というご相談が最も多く、その原因は木地の狂い・金具の緩み・敷居の摩耗のいずれかに切り分けられます。

宝積寺の宮殿厨子
真言宗智山派宝積寺様のご本尊を安置する宮殿厨子。高さ10尺(約3m)を超える大きな厨子を修理しました。 施工実績を見る

厨子とは何ですか

厨子とは、仏像や経巻、位牌などを納めるための、扉のついた箱型の仏具です。

「ずし」と読みます。両開きの扉を備えるものが一般的で、普段は扉を閉じ、法要などの折に開扉して御本尊を拝します。

寺院の内陣に据える大型のものから、持ち運べる小型のものまで大きさはさまざまです。屋根を持つ建築的な形式のものもあり、その場合は宮殿(くうでん)と近い意匠になります。

宮殿と厨子の使い分け 屋根を持ち須弥壇の上に据えるものを宮殿、扉を備えた箱型で単独でも用いるものを厨子と呼び分けるのが一般的です。ただし寺院や地域によって呼び方に幅があり、厳密に線を引けない場合もあります。

厨子はどのような構造ですか

本体の箱部、開閉する扉、それを支える台座から成り、扉は藁座や蝶番といった金具で吊り込まれます。

箱部本体。外面は黒漆や朱漆、内面は金箔押しとするのが一般的です。
扉両開きが多く、框(かまち)で組まれます。面に彫刻や彩色、錺金具が施されます。
藁座(わらざ)扉を吊り込むための部材・金具。扉の重さを受ける要の部分です。
幣軸(へいじく)扉の枠にあたる部材。
台座厨子を受ける台。須弥壇の上に据える場合もあります。

外は落ち着いた漆、内は金箔という仕立てが多いのは、扉を開いたときに内部が光を受けて輝き、御本尊が浮かび上がって見えるようにするためです。閉扉時と開扉時で表情が変わることそのものが、厨子の意匠といえます。

扉を開いた厨子。内側は金箔押し
同じ厨子の扉を開いた状態。外は黒漆、内側は金箔で仕上げられています。 施工実績を見る

扉が閉まりにくいのですが、原因は何ですか

原因は主に三つあり、木地の狂い・金具の緩み・敷居や框の摩耗に切り分けられます。表面を塗り直しても直りません。

木地の狂い症状:扉が反り、上下や左右で当たり方が違う。原因:乾湿の繰り返しによる木の伸縮。対処:反りの矯正、框の調整。
金具の緩み症状:扉が下がる、ぐらつく。原因:藁座や蝶番の鋲穴の傷み。対処:鋲穴の補修、金具の締め直しや補作。
摩耗・擦れ症状:擦れ跡がある、開閉時に音がする。原因:長年の開閉による当たり面の減り。対処:当たり面の調整、塗膜の補修。

いずれも原因は塗装の下、あるいは金具の内側にあります。見た目を整えるだけの塗り直しでは、しばらくして同じ症状が戻ります。ご相談の際は「いつ頃から」「どの向きに閉まりにくいか」をお聞かせいただけると、原因の見当がつきやすくなります。

扉の建付けだけを直すことはできますか

原因が金具の緩みや当たり面の摩耗にとどまる場合は、部分的な手当てで改善することがあります。木地の狂いが大きい場合は、扉を外しての修理が必要です。

部分的な手当てで改善しやすい藁座や蝶番の鋲のゆるみ、当たり面の軽い擦れ。
扉を外しての修理が必要扉の反りが大きい、框が割れている、鋲穴が傷んで金具が効かない。

建付けの手当ては、塗り直しより手間が小さく済むことが多い一方で、原因を取り違えると効果がありません。まず原因を切り分けることが、無駄な費用をかけない近道です。

厨子の修理はどのような手順で進みますか

扉を外して原因を確かめるところから始め、木地を直したうえで塗りと金具を整え、最後に建付けを合わせます。

  1. 現状確認 開閉の具合、傷みの範囲、内面の金箔の状態を確認します。
  2. 記録・解体 撮影のうえ、扉と金具を外します。金具は番号を付けて管理します。
  3. 木地の補修 反り・割れ・鋲穴の傷みを直します。ここが建付け不良の本丸です。
  4. 洗浄・下地 汚れと傷んだ塗膜を処理し、下地を整えます。
  5. 漆塗り 外面を塗り重ねます。
  6. 金箔押し 内面の金箔を押します。
  7. 金具の修理・取付 金具を整えて鍍金や漆箔を施し、元の位置に打ちます。
  8. 建付け調整 扉を吊り込み、開閉の当たりを合わせて完了です。
修理した厨子の錺金具
修理を終えた厨子の金具。緑青錆の出ていた銅地金具に、金箔を押し直しました。 施工実績を見る

厨子の新調もお願いできますか

承ります。既存の意匠を踏襲したものから、御堂の寸法や御本尊に合わせた設計まで対応します。

新調でまず確認するのは、「どこに置くか」と「何をお納めするか」です。

  • 設置場所の寸法(幅・奥行・高さ、須弥壇の上に載せる場合はその天端寸法)
  • 納める御本尊や位牌の寸法と、光背・台座を含めた高さ
  • 扉を開いたときに必要な左右の余裕
  • 宗派の形式、既存の内陣との調和

関連会社である株式会社若林佛具製作所(創業 天保元年/1830年)と連携し、木地から荘厳までを一貫して整えることができます。

厨子の修理を依頼するとき、何を準備すればよいですか

扉を閉じた状態と開いた状態の写真、傷んだ箇所の寄り、設置場所の寸法と搬出経路が分かると、段取りが具体的になります。

  • 全体の写真(扉を閉じた状態と、開いた状態の両方)
  • 傷んだ箇所の寄り(内面の金箔、扉の当たり、金具など)
  • 設置場所の寸法と、搬出経路の幅
  • 閉まりにくさの状況(いつ頃から、どの向きに)
  • 御本尊をお移しする日程のご都合

搬出が難しい大型の厨子は、現地で施工します。お預かりする場合も現地施工の場合も、工程のあいだに漆の硬化を待つ時間が必要になるため、期日のご希望は早めにお知らせください。

日頃の手入れで気をつけることはありますか

乾拭きを基本とし、湿気と直射日光を避けてください。金箔の面は原則として拭かないことが大切です。

乾拭きが基本柔らかい布で軽く。水や洗剤、化学ぞうきんは塗膜を傷めます。
金箔は拭かない金箔は極めて薄く、拭くと擦れて失われます。埃は毛先の柔らかい刷毛で払う程度に。
湿気を避ける結露や床からの湿気は、金箔の浮きや木地の狂いの原因になります。
直射日光を避ける漆は紫外線に弱く、艶引けや白化の原因になります。

「良かれと思って磨いたら金が取れてしまった」というご相談は少なくありません。迷ったら触らず、まずご相談ください。

よくある質問

厨子(ずし)とは何ですか

厨子とは、仏像や経巻、位牌などを納めるための扉のついた箱型の仏具です。両開きの扉を備えるものが一般的で、普段は扉を閉じ、法要などの折に開扉して御本尊を拝します。外面は黒漆や朱漆、内面は金箔押しとするのが一般的です。

厨子の扉が閉まりにくいのですが原因は何ですか

原因は主に三つで、乾湿による木地の狂い、藁座や蝶番など金具の緩み、長年の開閉による当たり面の摩耗に切り分けられます。いずれも原因は塗装の下や金具の内側にあるため、表面を塗り直すだけでは再発します。

厨子の新調もできますか

できます。既存の意匠を踏襲したものから、御堂の寸法や御本尊に合わせた設計まで対応します。設置場所の寸法、納める御本尊の寸法、扉を開くのに必要な余裕、宗派の形式などを確認したうえで進めます。

厨子の手入れはどうすればよいですか

柔らかい布での乾拭きが基本です。水や洗剤は塗膜を傷めます。金箔の面は極めて薄く拭くと失われるため、原則として拭かず、埃は柔らかい刷毛で払う程度にしてください。湿気と直射日光も避けてください。

厨子の修理を頼むとき何を準備すればよいですか

扉を閉じた状態と開いた状態の全体写真、内面の金箔や扉の当たりなど傷んだ箇所の寄り、設置場所の寸法と搬出経路の幅、閉まりにくさの状況をお知らせください。搬出が難しい大型の厨子は現地で施工します。

ご相談の窓口

寺院の方

宮殿・厨子・脇壇・天蓋などの傷みが気になる

全体と傷んだところの写真3枚程度、所在地をお送りください。修理か新調かも含めて、方針と概算の進め方をご案内します。

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現地調査・概算見積りは無料です(写真での概算を含みます)。

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建設会社・設計事務所の方(内陣・荘厳具の工事)

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