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仏具・荘厳具

天蓋・幢幡とは

株式会社若林工芸舎 文化財・社寺建築の装飾専門工事更新:

このページの要点

天蓋(てんがい)は御本尊の上に吊って覆う荘厳具、幢幡(どうばん)は堂内に垂らす旗状の荘厳具です。いずれも吊り物であるため、他の仏具にはない「落下」という危険があります。高所にあり普段は見上げるだけなので傷みに気づきにくく、足場が架かる機会に点検しておくことを強くおすすめします。

知恩院御影堂の天蓋
浄土宗総本山知恩院様 国宝御影堂の御荘厳具御修復工事。人天蓋などを修理し、幢幡を新調しました。 施工実績を見る

天蓋とは何ですか

天蓋とは、御本尊や導師の座の上に吊り下げて覆うように荘厳する仏具です。

もとは日除け・塵除けの傘に由来するとされ、尊い方の頭上を覆うことで敬意を表すという意味を持ちます。インドで貴人に差しかけられた傘が origin とされ、それが仏教とともに伝わり、堂内の荘厳具として定着しました。

木製の骨組みに漆塗りと金箔押しを施し、瓔珞(ようらく)と呼ばれる垂れ飾りや、金具・彫刻で飾られます。円形・方形など形式はさまざまで、寺院の格や宗派によって意匠が異なります。

瓔珞(ようらく)とは 珠や金具を連ねた垂れ飾りのことです。もとはインドで用いられた装身具に由来し、堂内では光を受けて揺れることで荘厳を添えます。

幢幡とは何ですか

幢幡とは、堂内に垂らす旗状の荘厳具です。

金属製の板や金具を連ねたもの、裂(きれ=織物)を用いたものなどがあり、天蓋とともに堂内を厳かに飾ります。「幢」と「幡」はもともと別の物を指しましたが、現在は合わせて幢幡と呼ばれることが一般的です。

細かな金具を多数連ねる構造のため、修理では一点ずつの取り外しと管理が必要になります。部品点数が多く、解体時の記録がそのまま仕上がりを左右します。

御影堂の内陣に下がる幢幡
御影堂の内陣。左右に下がっているのが、当社で新調した幢幡です。 施工実績を見る

天蓋・幢幡はどのような部材でできていますか

漆塗りと金箔押しを施した木部に、瓔珞や錺金具、彫刻を組み合わせ、吊り金具と紐や鎖で吊っています。

本体(木部)骨組みや板。漆塗りと金箔押しが施されます。
瓔珞珠や金具を連ねた垂れ飾り。部品点数が多い部分です。
錺金具飾り金具や小金具。鍍金や漆箔で仕上げます。
彫刻・彩色意匠によって施されます。
吊り金具・紐・鎖全体の荷重を受ける部分。安全に直結します。

漆・金箔・金具・彩色と、複数の技術が一つにまとまった荘厳具です。修理ではそれぞれの部分を分けて状態を確かめます。

吊り物ならではの注意点は何ですか

長年の荷重で吊り金具が変形したり、紐や鎖が劣化して、落下につながるおそれがあります。

吊り金具の疲労荷重が一点に掛かり続けるため、金具が伸びる・変形することがあります。目視で分かりにくいのが厄介な点です。
紐・鎖の劣化繊維の紐は経年で確実に弱ります。鎖でも接続部分から傷みます。
部品の落下瓔珞や小金具が外れて落ちることがあります。下に落ちている小さな金具は、傷みのサインです。
天井側の取り付け吊り元(天井の下地)そのものが傷んでいる場合もあります。

「床に小さな金具が落ちていた」というのは、点検すべき明確なサインです。拾った部品は捨てずに保管してください。どこの部品かを特定する手がかりになり、補作の際の見本にもなります。

いつ点検すればよいですか

堂宇の修理などで足場が架かる機会が、最も確実で費用効率のよいタイミングです。

天蓋・幢幡は高所にあるため、点検するだけでも足場や高所作業の手配が必要になります。そのため、次のような機会にあわせるのが現実的です。

  1. 屋根や外部の修理で足場を架けるとき 堂内側の高所も同時に確認できないか検討します。
  2. 内陣の修理を行うとき 須弥壇や宮殿の修理にあわせて、吊り物も点検します。
  3. 大きな法要の前 人が多く集まる前に、安全面を確認しておきます。

逆に言えば、足場を架ける計画があるなら、そのときに吊り物も見ておかないと、次の機会は何十年も先になりかねません。

点検では、どこを確認しますか

吊り元から順に、吊り金具、紐・鎖、本体の木部、漆と金箔、瓔珞・小金具を確認します。

  1. 吊り元 天井側の下地と取り付けの状態。
  2. 吊り金具 伸び・変形・腐食がないか。
  3. 紐・鎖 繊維の劣化や、接続部の傷み。
  4. 本体の木部 割れ・緩み・虫害。
  5. 漆・金箔 剥離・浮き・煤の付着。
  6. 瓔珞・小金具 欠損や、外れかけているもの。

上から順に見るのは、荷重の流れに沿って確かめるためです。吊り元や吊り金具に不安があれば、ほかの傷みより優先して手当てします。

修理はどのように進みますか

取り外して工房でお預かりし、解体・洗浄のうえ、木地・漆・金箔・金具を整えて組み上げ、吊り込みまで対応します。

  1. 現地確認・記録 吊り元の状態、全体の傷み、部品の欠損を確認して撮影します。
  2. 取り外し・搬出 高所作業となるため、安全の確保が前提です。
  3. 解体・部品管理 瓔珞や小金具を一点ずつ番号を付けて管理します。
  4. 洗浄・木地補修 煤や汚れを除き、木部の傷みを直します。
  5. 漆塗り・金箔押し 下地から整えて塗り、金箔を押します。
  6. 金具の修理・鍍金 変形の矯正、欠損の補作、鍍金や漆箔の仕上げ。
  7. 吊り金具の更新 安全に関わる部分は、必要に応じて新しくします。
  8. 組立・吊り込み 元の位置に吊り、垂れの高さを調整して完了です。

当社は総本山知恩院様 国宝御影堂の荘厳具修復(天蓋・幢幡)にも従事してまいりました。施工実績もあわせてご覧ください。

天蓋や幢幡を新しくすることはできますか

できます。修理が難しい場合や、修理するより新調のほうが費用を抑えられる場合は、新調をおすすめします。

新調では、既存の意匠を写して踏襲するほか、堂内の寸法や御本尊に合わせて設計することもできます。一部の部材や金具だけを新しくし、残せるものは修理して活かす方法もあります。

吊り金具や紐・鎖など安全に関わる部分は、本体を修理する場合でも新しくすることを検討します。どこまでを修理し、どこからを新しくするかは、現物を拝見したうえでご提案します。

よくある質問

天蓋(てんがい)とは何ですか

天蓋とは、御本尊や導師の座の上に吊り下げて覆うように荘厳する仏具です。もとは日除け・塵除けの傘に由来するとされ、尊い方の頭上を覆うことで敬意を表します。木製の骨組みに漆塗りと金箔押しを施し、瓔珞や金具、彫刻で飾られます。

幢幡(どうばん)とは何ですか

幢幡とは、堂内に垂らす旗状の荘厳具です。金属製の板や金具を連ねたもの、裂を用いたものなどがあり、天蓋とともに堂内を厳かに飾ります。細かな金具を多数連ねる構造のため、修理では一点ずつの取り外しと管理が必要です。

天蓋や幢幡の点検はいつすればよいですか

堂宇の修理などで足場が架かる機会が最も確実です。高所にあるため点検だけでも足場や高所作業の手配が必要になるからです。屋根や外部の修理、内陣の修理、大きな法要の前などにあわせて確認することをおすすめします。

床に小さな金具が落ちていました。どうすればよいですか

点検すべきサインです。吊り物から瓔珞や小金具が外れている可能性があります。拾った部品は捨てずに保管してください。どこの部品かを特定する手がかりになり、補作の際の見本にもなります。

天蓋や幢幡の点検ではどこを確認しますか

荷重の流れに沿って、天井側の吊り元、吊り金具の伸びや変形、紐や鎖の劣化、本体の木部の割れや緩み、漆と金箔の剥離や浮き、瓔珞や小金具の欠損を順に確認します。吊り元や吊り金具に不安があれば優先して手当てします。

ご相談の窓口

寺院の方

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全体と傷んだところの写真3枚程度、所在地をお送りください。修理か新調かも含めて、方針と概算の進め方をご案内します。

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建設会社・設計事務所の方(内陣・荘厳具の工事)

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