彩色・単色塗り
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単色塗り(たんしょくぬり)とは、社寺建築の部材を一色で塗る仕上げのことです。単彩色(たんさいしき)ともいいます。社寺で見かける朱色の柱——あの丹塗りも単色塗りの代表例です。押さえるべきは、これが装飾であると同時に、木材を守る実用の塗装だという点。塗装を怠れば、木部が露出して腐朽が始まります。

社寺建築の部材を一色で塗る仕上げのことで、単彩色ともいいます。
文様や絵を描く「彩色」に対して、部材を単一の色で塗ることを指します。
| 単色塗り(単彩色) | 部材を一色で塗る。柱、組物、軒など。 |
| 彩色 | 文様や絵を描く。虹梁、天井、羽目板など。 |
装飾としての役割と同時に、塗膜が木材を風雨や紫外線から守る実用の役割があります。おおむね数十年ごとの塗り替えが目安とされます。
社寺建築の柱や組物を朱色・赤色に塗る仕上げで、単色塗りの代表例です。
「丹(に)」は古くから赤い顔料を指す言葉です。神社の鳥居や社殿、寺院の柱に見られる、あの朱色がこれにあたります。
見た目の荘厳のためだけではありません。塗膜が木部を風雨や紫外線から守るため、木材の防腐という実用的な役割も担っています。逆に言えば、塗り替えを怠ると塗膜が痩せて木部が露出し、腐朽の原因になります。
通例があります。軸部や組物は赤、壁は白、木口は黄か白、連子窓は緑という塗り分けが一般的です。
| 赤(朱) | 軸部・組物・軒・妻飾・縁・高欄など |
| 白 | 壁・琵琶板(小壁)などの板部 |
| 黄または白 | 肘木・桁・垂木・隅木の木口(こぐち=木材の切断面) |
| 緑 | 連子窓(れんじまど) |
この色彩は、伝来当時の日本では素木(しらき)の住宅が建ち並んでいたため、寺院の存在を主張するものであったと考えられています。
ただしすべての社寺が同じではありません。宗派、時代、地域によって塗り分けは異なります。修理では、当初の色と塗り分けを調査することから始めます。

神社の社殿・鳥居・玉垣から、寺院の本堂・経蔵・仏塔・回廊・楼門まで、広く施されます。
朱色の建物といえば、神社や鳥居、灯籠を思い浮かべる方が多いでしょう。全国の稲荷神社で朱色の建物が多く見られるのは、赤色が「生命・大地・生産」を象徴し、稲荷の御霊の働きを表すものと信じられてきたためです。
神社では、懸魚・破風・千木に至るまで塗り分けられることが多く、玉垣に単色塗りを施すこともあります。寺院でも、本堂・経蔵・仏塔・回廊・楼門などに施工します。

赤色には水銀朱、弁柄、鉛丹などが用いられてきました。
| 水銀朱(辰砂) | 古代から貴重に扱われた赤色顔料。縄文時代には土器に使われていました。 |
| 弁柄(ベンガラ) | 酸化鉄による赤色顔料。落ち着いた赤みが出ます。 |
| 鉛丹(光明丹) | 鉛丹による赤色塗料。オレンジに近い発色をします。 |
水銀朱は金や鉄と同様に貴重とされ、丹生氏(にゅうし)と呼ばれる人々が全国で鉱脈を探しました。全国に「丹生」の付く地名や丹生神社が200カ所以上あるのは、その名残です。空海が高野山を開いた理由の一つに、周辺の水銀鉱脈があったとも言われています。
白には胡粉・白土、黄には黄土、緑には緑青、黒には松煙墨などを用います。
| 白 | 胡粉(ごふん)、白土 |
| 黄 | 黄土 |
| 緑 | 緑青(孔雀石) |
| 黒 | 松煙墨 |
伝統的な顔料は水に溶けにくく、重いものが多くあります。そのため刷毛に大量に含ませず、薄く塗り重ねるのが基本です。塗る面に応じて刷毛の大小を変え、下塗・上塗ともに丁寧に重ねます。ムラなく塗ることは見た目以上に難しく、熟練の技術が要ります。
既存の色を調査して顔料を調合し、当初の色味を尊重して仕上げます。
②が要点です。長年の褪色で今見えている色は、当初の色ではありません。そのため目視で色を合わせるのではなく、残存している塗料の成分を分析して当初の色を突き止めます。
詳しくは単色塗りのページ、費用の考え方は神社・お寺の修繕費用をご覧ください。
旧塗膜を手作業で掻き落とし、木地を補修し、膠と礬水を引いて塗装の準備を整えます。
膠は動物の骨や皮などを煮出したコラーゲンが原料で、腐りやすく保存がききません。そのため絵具は、使い切れる分量だけをその都度練ってつくります。
塗れます。ご要望に応じて、アクリル材やウレタン材で塗装することも可能です。
| 伝統顔料(膠で溶く) | 当初の材料・技法を踏襲する仕上げ。文化財修理の基本です。 |
| アクリル材・ウレタン材 | ご要望に応じて使用します。長期的な色の変化や劣化を見据えた暴露試験を行い、建造物に適した塗料を準備します。 |
文化財に指定されている建物では、当初の材料・技法を踏襲することが原則です。材料の選択は、設計監理者や所有者と協議して決めます。
色の調べ方、下地処理の範囲、使う材料、施工体制、足場などの付帯の五点です。
| 色の調べ方 | 当初の色を、残存した塗料の成分分析で読み取るか。 |
| 下地処理の範囲 | 旧塗膜をどこまで掻き落とし、木地をどこまで補修するか。 |
| 材料 | 伝統顔料か、アクリル材・ウレタン材か。 |
| 施工体制 | 朱塗りには鉛を含む顔料を使うため、特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者の資格保有者が施工に当たるか。 |
| 付帯 | 足場・仮設・養生の扱い。 |
当社は元請の建設会社・設計事務所の協力会社としての施工、行政の概算・下見積もりのご相談にも対応しています。詳しくは建設会社・行政の皆様へをご覧ください。
社寺建築の部材を一色で塗る仕上げのことで、単彩色ともいいます。文様や絵を描く彩色に対して、部材を単一の色で塗ることを指します。装飾であると同時に、塗膜が木材を風雨や紫外線から守る実用の役割も担っています。
社寺建築の柱や組物を朱色・赤色に塗る仕上げで、単色塗りの代表例です。「丹」は古くから赤い顔料を指す言葉です。荘厳のためだけでなく木材の防腐という実用的な役割も担い、塗り替えを怠ると塗膜が痩せて木部が露出し腐朽の原因になります。
通例があります。軸部・組物・軒・妻飾・縁・高欄などは赤(朱)、壁や琵琶板などの板部は白、肘木・桁・垂木・隅木の木口は黄か白、連子窓は緑に塗られることが多くなっています。ただし宗派、時代、地域によって異なるため、修理では当初の塗り分けを調査します。
水銀朱(辰砂)、弁柄(酸化鉄)、鉛丹(光明丹)などが用いられてきました。水銀朱は古代から金や鉄と同様に貴重とされ、全国に「丹生」の付く地名や丹生神社が200カ所以上あるのはその名残とされています。
長年の褪色で今見えている色は当初の色ではありません。そのため残存した塗料の成分分析を行って当初の色を読み取り、顔料を調合します。
鉋やヘラなどで木地を傷つけないよう旧塗膜を手作業で掻き落とし(ケレン)、水拭きで粉塵や手脂を除き、ひび割れや虫食いを刻苧や埋木で補修します。必要に応じて膠水を塗る捨て膠引きを行い、灰汁止めの礬水を2回以上引いてから、膠水で練った顔料を塗り重ねます。
できます。ご要望に応じてアクリル材やウレタン材で塗装することも可能で、長期的な色の変化や劣化を見据えた暴露試験を行って建造物に適した塗料を選びます。文化財に指定されている建物では当初の材料・技法の踏襲が原則のため、協議のうえで決めます。
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