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錺金具

漆箔(しっぱく)とは

株式会社若林工芸舎 文化財・社寺建築の装飾専門工事更新:

このページの要点

漆箔(しっぱく)とは、漆を接着剤として金箔を貼り付ける(押す)技法です。ここで最も大切な事実は、金箔そのものには強度がないということです。厚さは1万分の1ミリ程度。美しさも耐久性も、下にある漆と下地の状態でほぼ決まります。「金箔が剥がれた」というご相談の多くは、実は下地の問題です。

知恩院御影堂の四天柱と内陣
浄土宗総本山知恩院様 国宝御影堂。四天柱・壁面などの漆塗り・金箔押しを施工しました。 施工実績を見る

漆箔とは何ですか

漆箔とは、漆(箔下漆)を接着剤として用い、その粘着力で金箔を押す技法です。

木部にも金属にも用いられ、社寺建築の装飾、須弥壇や宮殿などの荘厳具、錺金具の仕上げなど、幅広く使われます。

金箔の薄さ 金箔は金を叩き延ばしてつくられ、厚さはおよそ1万分の1ミリ程度とされます。指で触れれば崩れ、息を吹きかければ飛ぶほどの薄さです。だからこそ、下の層が仕上がりのすべてを決めます。

つまり金箔は「乗っているだけ」で、支えているのは漆と下地——これが漆箔を理解する要点です。

漆箔はどのような手順で行いますか

下地づくりから始まり、漆を塗り重ね、箔下漆の粘りが適した頃合いを見て金箔を押します。

  1. 下地 木地を固め、下地を施して平滑に整えます。ここが不十分だと、後の剥離につながります。
  2. 塗り 下地の上に漆を塗り重ねます。
  3. 箔下漆 金箔を押すための漆を塗ります。油分を含まない漆を用います。
  4. 箔押し 漆の粘りが適した状態になった頃合いを見て、金箔を押していきます。
  5. 押さえ 綿などで軽く押さえ、密着させます。

④のタイミングの見極めが職人の勘どころです。早すぎれば箔が沈み、遅すぎれば付きません。漆は湿度で硬化するため、季節や現場の環境によって適期が変わります。同じ手順でも、その日の天候で待ち時間が変わるということです。

柱に金箔を押す作業
御影堂の柱に金箔を押す作業。 施工実績を見る

漆箔の仕上がりは、何で差が出ますか

下地の平滑さ、箔下漆の塗り方、箔を押す頃合いの三つで差が出ます。

下地の平滑さ金箔は極めて薄く、下の凹凸をそのまま映します。下地のわずかな凹みも、金の面では光のゆがみとして見えます。
箔下漆の塗り方薄く均一に塗ることが求められます。ムラがあると、金の艶にもムラが出ます。
押す頃合い漆の粘りが適した状態を見極めます。漆は湿度で硬化するため、季節や天候によって適期が変わります。

使う金箔が同じでも仕上がりに差が出るのは、金箔の下にある仕事が違うからです。

鍍金との違いは何ですか

漆箔は「金箔を貼る」、鍍金は「金の層をつくる」技法で、使える素材と修理のしやすさが違います。

漆箔漆で金箔を貼る。木部にも金属にも使える。修理では押し直しが可能。
鍍金金属の表面に金の層を形成する。金属に対して行う。水銀鍍金など。

錺金具の仕上げでは、部位や当初の仕様に応じてどちらを用いるかを決めます。木部が絡む箇所は漆箔、金具単体で耐久性が求められる箇所は鍍金、という使い分けが基本になります。

金箔が剥がれる原因は何ですか

金箔自体の問題ではなく、湿気・下地の劣化・木地の動きという「下の層」に原因があることがほとんどです。

湿気裏側からの湿気で下地が動き、箔が浮きます。床下や壁際からの湿気が原因のことがあります。
下地の劣化下地が痩せる・粉状になると、その上の層ごと剥がれます。
木地の動き乾湿による木地の伸縮で塗膜に負担がかかり、ひび割れから剥離が進みます。
物理的な摩耗手が触れる箇所、拭き掃除をする箇所から減っていきます。金箔は拭いてはいけません。
煤・汚れ灯明の煤が積もると黒ずみ、清掃しようとして箔を痛める悪循環が起きがちです。

したがって金箔だけを押し直しても、原因が残っていれば再発します。まず原因を特定することが、費用を無駄にしないための第一歩です。

金箔の面の手入れは、どうすればよいですか

拭かないことが基本です。埃は、毛先の柔らかい刷毛で払う程度にとどめてください。

  • 拭かない 金箔は極めて薄く、拭くと確実に減ります。
  • 水や洗剤を使わない 下の漆や下地を傷めます。
  • 煤を無理に落とさない 清掃しようとして箔を傷める例が少なくありません。
  • 湿気を避ける 裏側からの湿気は、箔が浮く原因になります。
  • 浮いている箇所には触れない 触れた瞬間に剥がれ落ちることがあります。

黒ずみが気になるときは、ご自身で落とそうとせず、まずご相談ください。状態を見たうえで方法を判断します。

押し直すかどうかは、どう判断しますか

下地が健全なら部分的な押し直しで済み、下地から傷んでいれば塗り直しに戻る必要があります。

部分的な押し直し剥離が局所的で、周囲の下地が健全な場合。ただし新旧で金の色味が違って見えることがあり、範囲の取り方に判断が要ります。
面での押し直し一つの面全体を押し直す。色味の差が出にくく、見た目は落ち着きます。
下地からやり直す下地が痩せている、湿気の影響が広い、木地が動いている場合。手間は増えますが、これが必要な状態で表面だけ直しても数年で戻ります。

当社では状態を確認したうえで、どこまで戻して直すべきかを含めてご提案します。ご予算に応じて段階的に進める方法もご相談いただけます。

漆箔の修理は、どのような手順で進みますか

剥離の範囲と原因を確かめ、傷んだ層を処理して下地から整え、箔下漆を塗って金箔を押し直します。

  1. 状態の確認 剥離の範囲と原因(湿気・下地の劣化・木地の動き)を確かめます。
  2. 洗浄 煤や汚れを除きます。
  3. 傷んだ層の処理 浮いた箔や痩せた下地を、方針に応じて取り除きます。
  4. 下地の補修 下地を付けては研ぎ、平滑に整えます。
  5. 漆塗り・箔下漆 漆を塗り重ね、金箔を押すための箔下漆を塗ります。
  6. 箔押し 頃合いを見て金箔を押し、綿などで押さえて密着させます。
  7. 色味の確認 既存の金との見え方を確かめます。

当社は漆塗り・金箔押し・錺金具を自社の技能者で施工するため、木部の漆箔と金具の金色を一体で揃えられるのが利点です。

よくある質問

漆箔(しっぱく)とは何ですか

漆箔とは、漆を接着剤として金箔を押す技法です。木部にも金属にも用いられ、社寺建築の装飾、須弥壇や宮殿などの荘厳具、錺金具の仕上げに広く使われます。金箔は厚さ1万分の1ミリ程度で強度がないため、耐久性は下の漆と下地の状態で決まります。

漆箔と鍍金は何が違いますか

漆箔は漆で金箔を貼る技法で、木部にも金属にも使え、修理では押し直しが可能です。鍍金は金属表面に金の層を形成する技法で、金属に対して行います。木部が絡む箇所は漆箔、金具単体で耐久性が求められる箇所は鍍金という使い分けが基本です。

金箔が剥がれる原因は何ですか

金箔自体ではなく下の層に原因があることがほとんどです。裏側からの湿気で下地が動く、下地が痩せて粉状になる、乾湿で木地が伸縮して塗膜に負担がかかる、拭き掃除による摩耗などが主な原因です。金箔は拭いてはいけません。

金箔だけ押し直せばよいですか

原因が下地にある場合は再発します。下地が健全なら部分的な押し直しで済みますが、下地が痩せている、湿気の影響が広い、木地が動いているといった場合は、下地からやり直す必要があります。表面だけ直しても数年で戻ります。

金箔の面の手入れはどうすればよいですか

拭かないことが基本です。金箔は極めて薄く拭くと確実に減るため、埃は毛先の柔らかい刷毛で払う程度にとどめてください。水や洗剤は使わず、煤も無理に落とさないでください。浮いている箇所は触れると剥がれ落ちることがあります。

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