錺金具
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錺金具(かざりかなぐ)とは、社寺建築や仏具に打たれる装飾用の金具のことです。「錺」は「かざり」と読み、金へんに「飾」の意を持たせた国字(日本でつくられた漢字)です。重要なのは、錺金具が装飾のためだけのものではないという点です。柱の角や部材の接合部を物理的に守る役割も担っており、緩んだまま放置すると木部の傷みにつながります。

「かざりかなぐ」と読みます。「錺」は金属に飾りを施すことを表す、日本でつくられた漢字です。
「飾金具」「錺金物」と書かれることもあり、いずれも同じものを指します。これを製作・施工する職人は錺師(かざりし)と呼ばれます。
荘厳(装飾)と保護の二つです。見た目のためだけの飾りではありません。
| 荘厳(装飾) | 金の輝きと繊細な文様で、建造物や仏具を厳かに飾ります。堂内では灯明の光を受けて、静かに輝きます。 |
| 保護 | 柱や框の角、木口(こぐち=木材の切断面)、部材の接合部に打つことで、傷みやすい箇所を物理的に守ります。 |
この「保護」の役割こそ、錺金具を理解する要点です。木口は木材が最も水を吸いやすく、傷みやすい部分です。そこに金具を打つことで、雨や湿気から守っています。
だからこそ、金具が緩んだり外れたりしたまま放置すると、その下の木部が傷みます。「飾りが取れただけ」と考えて後回しにすると、より大きな修理につながりかねません。
六葉、釘隠し、板物、飾り鋲などがあり、打たれる位置によって形と役割が決まっています。
| 六葉(ろくよう) | 懸魚などに付く六弁の花形の金具。中央に樽の口(たるのくち)と呼ばれる突起が付きます。 |
| 釘隠し | 長押などに打たれた釘の頭を隠す金具。形は花形・六葉形・饅頭形などさまざま。 |
| 板物(いたもの) | 框・木口・柱などを覆う板状の金具。保護の役割が大きい種類です。 |
| 飾り鋲・座金 | 要所を留めつつ飾る小金具。 |
| 藁座(わらざ) | 扉を吊り込むための金具。厨子や唐戸に用いられます。 |
文様は花菱・唐草・宝相華(ほうそうげ)など多岐にわたり、寺院や時代によって意匠が異なります。そのため修理では、既存の文様を正確に写し取ることが前提になります。個々の名称は六葉・釘隠しとはで解説しています。

銅や真鍮の板を切り出し、鏨(たがね)で文様を打ち出し、成形したうえで金色に仕上げます。
同じ文様に見えても、鏨の当て方ひとつで表情が変わります。修理で欠損部分を補作する際は、残っている金具に手の跡を合わせることが求められます。
金工の技法は、鋳金・鍛金・彫金の三つに大別されます。
| 鋳金(ちゅうきん) | 溶かした金属を型に流し込み、冷えてから型を外して形をつくります。擬宝珠や露盤宝珠などの鋳造品がこれにあたります。 |
| 鍛金(たんきん) | 金属を打ち延ばしたり縮めたりして形をつくります。当て金という鉄製の工具を使い、曲げたり折ったりして成形します。 |
| 彫金(ちょうきん) | 鍛金した金属に文様を付けます。鏨を槌で打ち、文様を刻みます。 |
彫金には、一段高く見せる高肉彫り、線で表す毛彫り、片切彫り、肉合い彫り、小さな丸い粒を打ち込む魚々子(ななこ)彫りなどがあります。透かしを入れる場合は鋸で挽いたあと、「きさげ」で断面を整えます。切り離した部分に出るバリは、鑢(やすり)で整えます。
漆で金箔を貼る「漆箔」と、金属表面に金の層をつくる「鍍金」の二つがあります。
| 漆箔(しっぱく) | 漆を接着剤として金箔を押します。木部にも金属にも使え、修理では押し直しができます。 |
| 鍍金(ときん) | 金属の表面に金の層を形成します。金属に対して行う技法で、伝統的には水銀を用いた水銀鍍金が行われてきました。 |
どちらを用いるかは、部位・当初の仕様・耐久性への要求から判断します。詳しくは漆箔とは/水銀鍍金とはをご覧ください。

黒色や銀色の仕上げもあります。黒色には、化学塗料の吹き付け、漆の焼き付け、煮黒目などの方法があります。
| 黒色 | 化学塗料を吹き付けて塗膜をつくる方法、漆を塗って焼き付ける方法、金属を化学変化で変色させる方法(煮黒目=にぐろめ など)。 |
| 金色 | 漆を塗って金箔を押す方法(漆箔)、水銀を仲介に金を定着させる方法(水銀鍍金)。 |
| 銀色 | 銀箔などを用いて仕上げます。 |
仕上げた金属は、そのままでは空気に触れて酸化・風化してしまいます。塗装や鍍金は、見た目と同時に金属を守る役割も担っています。
緩み・脱落は早めに手当てし、外れた金具は必ず保管してください。再利用できることが多く、意匠の資料にもなります。
| 緩み・浮き | 鋲穴の傷みが原因。放置すると脱落し、鋲穴から雨水が入って木部が腐朽します。 |
| 鍍金の摩滅 | 金色が薄れ、下地の金属色が見えてきます。美観の問題にとどまり、急を要しないことが多い症状です。 |
| 変形 | 荷重や衝撃による曲がり。矯正できる場合が多くあります。 |
| 欠損・紛失 | 現存する金具から文様を写して補作します。一枚でも現物が残っていれば復元の精度が上がります。 |
当社は錺金具の修理・新調・漆箔・鍍金を手がけています。詳しくは錺金具のページをご覧ください。
修理では汚れと錆を落とし、歪みや破損部を加熱して修正してから仕上げます。新調では型を取り、図面を起こしてから成形・彫金・仕上げに進みます。
| 修理 | 洗浄 → 素地調整(歪み・破損部を加熱して修正)→ 仕上げ(水銀鍍金・金箔押・電気鍍金・煮黒目など) |
| 新調 | 型取り・設計 → 型拵え → 彫金 → 仕上げ。水銀鍍金で仕上げる場合は、仕上げと彫金の順が逆になります。 |
主な材料は銅・真鍮で、金箔・銀箔で仕上げます。当社はこれまで、鹿児島県 鶴丸城御楼門、京都府 総本山知恩院御影堂、元離宮二条城、真宗本廟(東本願寺)御影堂門、奈良県 唐招提寺などの錺金具を手がけてきました。詳しくは施工実績をご覧ください。

「かざりかなぐ」と読みます。「錺」は金へんに飾の意を持たせた日本の国字で、金属に飾りを施すことを表します。「飾金具」「錺金物」と書かれることもあり、いずれも同じものを指します。製作する職人は錺師(かざりし)と呼ばれます。
荘厳(装飾)と保護の二つです。金の輝きと文様で建造物や仏具を厳かに飾ると同時に、柱や框の角、木口、部材の接合部に打つことで傷みやすい箇所を物理的に守ります。木口は水を吸いやすく傷みやすいため、金具が外れたまま放置すると木部が傷みます。
懸魚などに付く六弁の花形の六葉、釘の頭を隠す釘隠し、框や木口を覆う板状の板物、要所を留める飾り鋲や座金、扉を吊る藁座などがあります。文様は花菱・唐草・宝相華など多岐にわたり、寺院や時代によって意匠が異なります。
下絵と型取りのあと、銅や真鍮の板を切り出し、鏨(たがね)で文様を一打ずつ打ち出し、成形してから鍍金または漆箔で金色に仕上げます。同じ文様に見えても鏨の当て方で表情が変わるため、補作では残っている金具に手の跡を合わせることが求められます。
捨てずに保管してください。再利用できることが多く、当初の意匠を残すうえで貴重な資料になります。また金具の緩みや脱落を放置すると鋲穴から雨水が入り木部の腐朽につながるため、早めの手当てをおすすめします。
鋳金・鍛金・彫金の三つに大別されます。鋳金は溶かした金属を型に流して形をつくり、鍛金は金属を打ち延ばしたり縮めたりして成形し、彫金は鏨を槌で打って文様を刻みます。彫金には高肉彫り・毛彫り・片切彫り・肉合い彫り・魚々子彫りなどがあります。
あります。化学塗料を吹き付けて塗膜をつくる方法、漆を塗って焼き付ける方法、金属を化学変化で変色させる煮黒目などの方法があります。
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